近頃の息子は、バイバイ・はーい、など手を挙げる動作が少し
できるようになったり、お腹がすいたら私の襟元をぐいぐい
引っ張ったり。今まで点線だった意思→脳→からだと動きが
直線になってきたみたい。
これからどんな望みを持ち、どんな場所へ羽ばたいていくのだろう。
高校1年生のとき、同じクラスにとても無口な男の子がいた。
自分から女の子に話しかけることは絶対になかった。私は今でも
仲良しの友人K子と、なぜかその男の子が「すごいおもしろいはず」
という直感をもっていて、積極的に話しかけていた。一体何を
話したのかはあまり覚えていないけれど...。
高校2年生の夏、私が留学するときに1年のときのクラスの友人が
クラス全員分の自己紹介とメッセージを集めたサイン帳をくれた。
ひとりひとりめくっていくと、皆の温かい文章。
そう。メッセージは文章だった。ただひとりをのぞいては。
2年になってクラスが別々になり、ほとんど話さなくなった
無口な男の子からのメッセージは、驚くほど上手なイラストだった。
学校の机に載せられた卵からうまれた鳥が、まさに飛び立とうと
している絵。そこにはただ一言、「FLY」と書いてあった。
そんな風にひとつの絵ですべてが語られること、すごい才能が
いつでも謙虚な態度の裏に隠れていたことに感動して思わず
涙がほろり...。皆から離れ海外で生活することに対する不安は、
その絵を見るたびに薄れていった。
まさに爪を隠す鷹のようだった彼が、その後どんな風に羽ばたいて
いったのか、息子の成長を見ながら突然気になった今日この頃。
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